2013年2月13日水曜日

航海中の故障

 2011年5月から2012年7月にかけての太平洋航海中、お蔭さまで大きな故障には見舞われませんでしたが、いくつかのトラブルに遭遇しました。これから航海される方のご参考になればと、航海中にブログにも書きましたが、まとめて示します。

(1)ジブシート・ターニングブロックが台座ごと外れる
 バヌアツからポンペイへ赤道を越えて1400M航海したとき、赤道近くで頻繁にスコールが通過しました。雲高が高いスコールが近づいてきたのでジブを小さく巻き取ろうとしたらウィンチに食い込んでもたつきました。10分位で風速が35ktまで上がり、何とか食い込みは外したものの、シバーが激しく、ターニングブロックにシートが絡まったりして、木製のガンネルが壊れて、台座がはずれ
ました。以後は残っていた前方のレールにブロックを取り付けて航海しました。

(2)ステイスル(インナージブ)下端のワイヤ切れ
 ステイスルのファーラードラム下がワイヤーでしたが、ポンペイで残り数本でつながった状態なのを発見しました。幸いターンバックルや大きなシャックルを幾つも持っていたので、それらをつないで直しました。

(3)ステアリング・ホイールのワイヤ切れ
 グアムでアンカリング後にエンジンルームに入ってエンジンなどの点検をしていた時、偶然、ステアリングホイールとラダーをつなぐワイヤが残り数本で切れそうになっているのを見つけました。幸い予備に持参したステースルおよびジブのハリヤードのワイヤーが同じサイズだったのでこれを使い、破損部からラダーのクオドラントまでのワイヤーを取り換えました。切断部では3個のワイヤクリップで接続しました。
 ステアリングホイールのワイヤは長距離航海の場合、予備持参をお勧めします。航海中にきれなくて幸いでした。

(4)ハリヤード先端の摩耗
 メインハリヤードは12mmのオールロープですが、38日の航海でハワイに到着後調べたら、先端部がほつれており、その部分から先を切り捨てました(オールロープはこの点が簡単)。
 ジブハリヤード、ステイスルハリヤードは両方とも、ワイヤーとロープをつないだものですが、ハワイからマルケサスまでの25日間の風上航のあと調べたら、いずれもワイヤーにほつれが見つかりました。ハリヤードは予備を持っていたので交換し、ほつれたもの2本はニュージーランド・ワンガレイで直してもらいました。
 ハリヤードは予備の持参をお勧めします。こまめに先端部の点検が必要です。

(5)Halyard Restrainerの損耗
 ジブファーラーを回した時、ハリヤードが上部でフォアステイに巻きつくのを防止するためにフォアステーに対し角度をつけるためマスト上部に滑車を付けてマスト側へハリヤードを引き寄せますが、ハーケン社はそれをHalyard Restrainerと称して売っています。あるときハリヤードの動きが悪くなったのでマストに上って調べたら、アルミ製滑車の一部分が軸に到達するくらいまで擦り減っていました。滑車は回転してなかったのです。この予備は持ってなかったので、他しかサモアに乗りに来られる人に持ってきてもらいました。 取説に、ハリヤードとフォアステーがなす角度が10度以下のこと、と書いてあり、今度はそれに近くなるような位置に取り付けましたが、以前は30度くらいで力がかかり過ぎていたと思います。

(6)冷蔵庫エバポレータの孔食
 ポンペイで冷蔵庫が故障したので業者(フィリピン人)に見てもらったら、石鹸水の泡で、エバポレータ―に小さな穴があるのを発見し、エポキシでビール缶を切り出した小片を接着し応急処置して冷媒を入れて直してくれました。孔食があったのは、エバポレータと冷蔵庫の壁の間に銅製コイルが巻いてある部分で、銅コイルが接触しているところでした。振動による保護塗装の摩耗とその後の電飾進行が原因と考えられます。帰国後新品のエバポレータに(自分で)交換しましたが、金属コイルが直接接しないよう、テープを貼ったり巻いたりしました。この点もご注意ください。

(7)水分が混入した軽油
 ハワイ・ホノルルのアラワイヨットハーバー入口のFuel Stationの軽油は水分が混じっているので買わない方が良いと、停泊中のドルチェの方から教えてもらっていましたが、500リッターも必要だったのでGSから運ぶのが大変だからついつい入れました。そしたら油水分離器にどんどん水が溜まりエンジン作動中、3日に一回はドレンが必要になりました。それだけならいいのですが、マルケサスに着いたころ排気に白煙が出るようになり、オイルゲージを見たらオイル量が異常に増えているように見えました。オイルを全部抜いたら11リッターと入れた量の2倍になっていました。電話で日本の専門家に相談したら、油水分離器では水分は完全に取れない、沈殿もしない溶け込むような水分が残り、これが燃料噴射ノズルやプランジャーを錆びさせて燃料噴射が不完全になり、不完全燃焼で燃えなかった軽油がシリンダー壁を伝って降りて、オイルに混ざる。オイル量が増えると負荷が増えて白煙(青くても夕方は白く見える)が出る。との説明を受けました。念のため、シリンダー上部の部品を4式発注してタヒチで乗りに来る人に持参を頼みましたが、オイルを交換後幸いにして再発しませんでした。南洋の島々でその後いれた軽油は水ゴミの問題はありませんでした。なるべく回転が速い自動車用スタンドで購入し、ポリタンで運ぶようにしましたが・・・。

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