2013年2月26日火曜日

船底塗り替え

 2月23,24日と総勢8人のKING BEEメンバーが志摩ヨットハーバーに集まって船底塗替え作業をしました。
 23日朝10時に到着すると、前日夕の満潮時にハーバーの皆さんが移動して上架し、さらに高圧水での船底洗浄を終えておいてくれて助かりました。ペーパーで一渡りサンディングして、午後3時には塗り替え完了。さすが8人居ると作業はスムーズに進捗。何人かはMaxフェザリングプロペラを分解し、グリースを新しいのに入れ替えて再組立てする作業をしました。ピッチ角を26度に間違えなくセットするのに神経を使って・・・。

  翌24日は午前中曇りで雪も時々舞ってきて寒かったですが、デッキ上木部の一部ニス塗作業、船内ではスターンチューブのシール(ワックスを浸した紐)、二輪を追加、メインエンジンのベルト交換もしました。スターンチューブのシール抑えの筒付きフランジがなかなか抜けず岡ハーバーマスターに助けてもらいました。次回から容易に抜けるよう間にナットを2個追加(ナットを回して反対側から押し出す)。シャフト径40mm、スターンチューブ内径64mmの間(12mm)に13mm径の紐を木槌でたたいて12mm以下に圧縮し、シャフトを一周する長さで切ってリング状にし、切り口を90度ずらして、ドライバーで押し込みました。
23日夜はクラブハウスのレストランで寄せ鍋。
 お正月にフールズの吉岡さんにもらっていた奈良の大吟醸一升をこの日のために残しておいて、楽しませてもらいました。そしてハーバー宿泊棟で二次会。翌日午前中は少し頭が痛かった―。

2013年2月19日火曜日

航海中の景色の油絵


太平洋航海中の景色を、暇を見つけては油絵にしています。

 右はNew Caledonia 本島の南東端にある静かなProny湾の絵です。ヌメアからイルデパンへ行く時と、ヌメアを出てバヌアツを目指す時の2回アンカリングしました。夕焼けがきれいでした。
右は、力強い形の山々が特徴的なTahiti ,Moorea島です。実際の景色を魅力的に見えるよう意図して、変えて描いてます。クック湾とオプノフ湾でアンカリングしました。いずれも静かで、周りは素晴らしい景色で、天国にいるのかと思ったくらいです。

2013年2月13日水曜日

航海中の故障

 2011年5月から2012年7月にかけての太平洋航海中、お蔭さまで大きな故障には見舞われませんでしたが、いくつかのトラブルに遭遇しました。これから航海される方のご参考になればと、航海中にブログにも書きましたが、まとめて示します。

(1)ジブシート・ターニングブロックが台座ごと外れる
 バヌアツからポンペイへ赤道を越えて1400M航海したとき、赤道近くで頻繁にスコールが通過しました。雲高が高いスコールが近づいてきたのでジブを小さく巻き取ろうとしたらウィンチに食い込んでもたつきました。10分位で風速が35ktまで上がり、何とか食い込みは外したものの、シバーが激しく、ターニングブロックにシートが絡まったりして、木製のガンネルが壊れて、台座がはずれ
ました。以後は残っていた前方のレールにブロックを取り付けて航海しました。

(2)ステイスル(インナージブ)下端のワイヤ切れ
 ステイスルのファーラードラム下がワイヤーでしたが、ポンペイで残り数本でつながった状態なのを発見しました。幸いターンバックルや大きなシャックルを幾つも持っていたので、それらをつないで直しました。

(3)ステアリング・ホイールのワイヤ切れ
 グアムでアンカリング後にエンジンルームに入ってエンジンなどの点検をしていた時、偶然、ステアリングホイールとラダーをつなぐワイヤが残り数本で切れそうになっているのを見つけました。幸い予備に持参したステースルおよびジブのハリヤードのワイヤーが同じサイズだったのでこれを使い、破損部からラダーのクオドラントまでのワイヤーを取り換えました。切断部では3個のワイヤクリップで接続しました。
 ステアリングホイールのワイヤは長距離航海の場合、予備持参をお勧めします。航海中にきれなくて幸いでした。

(4)ハリヤード先端の摩耗
 メインハリヤードは12mmのオールロープですが、38日の航海でハワイに到着後調べたら、先端部がほつれており、その部分から先を切り捨てました(オールロープはこの点が簡単)。
 ジブハリヤード、ステイスルハリヤードは両方とも、ワイヤーとロープをつないだものですが、ハワイからマルケサスまでの25日間の風上航のあと調べたら、いずれもワイヤーにほつれが見つかりました。ハリヤードは予備を持っていたので交換し、ほつれたもの2本はニュージーランド・ワンガレイで直してもらいました。
 ハリヤードは予備の持参をお勧めします。こまめに先端部の点検が必要です。

(5)Halyard Restrainerの損耗
 ジブファーラーを回した時、ハリヤードが上部でフォアステイに巻きつくのを防止するためにフォアステーに対し角度をつけるためマスト上部に滑車を付けてマスト側へハリヤードを引き寄せますが、ハーケン社はそれをHalyard Restrainerと称して売っています。あるときハリヤードの動きが悪くなったのでマストに上って調べたら、アルミ製滑車の一部分が軸に到達するくらいまで擦り減っていました。滑車は回転してなかったのです。この予備は持ってなかったので、他しかサモアに乗りに来られる人に持ってきてもらいました。 取説に、ハリヤードとフォアステーがなす角度が10度以下のこと、と書いてあり、今度はそれに近くなるような位置に取り付けましたが、以前は30度くらいで力がかかり過ぎていたと思います。

(6)冷蔵庫エバポレータの孔食
 ポンペイで冷蔵庫が故障したので業者(フィリピン人)に見てもらったら、石鹸水の泡で、エバポレータ―に小さな穴があるのを発見し、エポキシでビール缶を切り出した小片を接着し応急処置して冷媒を入れて直してくれました。孔食があったのは、エバポレータと冷蔵庫の壁の間に銅製コイルが巻いてある部分で、銅コイルが接触しているところでした。振動による保護塗装の摩耗とその後の電飾進行が原因と考えられます。帰国後新品のエバポレータに(自分で)交換しましたが、金属コイルが直接接しないよう、テープを貼ったり巻いたりしました。この点もご注意ください。

(7)水分が混入した軽油
 ハワイ・ホノルルのアラワイヨットハーバー入口のFuel Stationの軽油は水分が混じっているので買わない方が良いと、停泊中のドルチェの方から教えてもらっていましたが、500リッターも必要だったのでGSから運ぶのが大変だからついつい入れました。そしたら油水分離器にどんどん水が溜まりエンジン作動中、3日に一回はドレンが必要になりました。それだけならいいのですが、マルケサスに着いたころ排気に白煙が出るようになり、オイルゲージを見たらオイル量が異常に増えているように見えました。オイルを全部抜いたら11リッターと入れた量の2倍になっていました。電話で日本の専門家に相談したら、油水分離器では水分は完全に取れない、沈殿もしない溶け込むような水分が残り、これが燃料噴射ノズルやプランジャーを錆びさせて燃料噴射が不完全になり、不完全燃焼で燃えなかった軽油がシリンダー壁を伝って降りて、オイルに混ざる。オイル量が増えると負荷が増えて白煙(青くても夕方は白く見える)が出る。との説明を受けました。念のため、シリンダー上部の部品を4式発注してタヒチで乗りに来る人に持参を頼みましたが、オイルを交換後幸いにして再発しませんでした。南洋の島々でその後いれた軽油は水ゴミの問題はありませんでした。なるべく回転が速い自動車用スタンドで購入し、ポリタンで運ぶようにしましたが・・・。

レイマリン・オートパイロットの損耗

  昨年(2012年)7月23日に南太平洋航海から帰還しましたが、それまで約1年にわたる航海中は無事作動したレイマリン社のオートパイロット(リニアアクチュエータはType2 Long) が、8月に熊野花火に出かけたとき、動かなくなりました。モーターは回ってるのに舵が少ししか動かず船の方向がずれていきました。
 アクチュエータを分解すると、モーター先端の小さなプーリーとアクチュエータ基部の大直径のギア(いずれもプラスチック製)を結ぶゴムベルトが摩耗していて、殆ど凹凸がありませんでした。だから滑って舵が動かなかったわけです。
プーリーの歯も中央部が擦り減って鼓のようになってました。


 このオートパイロット一式はWestmarine社から 直輸入で購入した物なので、ここへ問い合わせたら、Westmarineのカタログには載っていないけれど、必要な部品はRaymarineから取り寄せ可能とういことで、ベルトとギア一式を購入しました。
DriveBelt(P/N N006)は2個で28US$、ブーリはアクチュエータ基部の数個のギアと一式でしか売らず、Grand Prix Gear Kit(P/N N021)一式133US$でした。

 
 モーター先端の小さなプーリーはプラスチックなのでペンチで壊して外し、ワイヤブラシ、やすりで軸先端のギザギザ部をきれいにして、新しいプーリーを押し込み、瞬間接着剤をすこし施しました(メーカ注にはロックタイト使用とあり)。

 皆さん、長距離航海中にオートパイロットが壊れたら非常に困ります。したがって、これから長距離航海に出られる方は、最低限、上述のゴムベルトとギア一式のご持参をお勧めします。僕はまさかゴムのベルトが使用してあるとは知りませんでしたので、ベルトの予備は持たず、その代り、中古でヨットを購入したときに付いていたオートパイロットを更新し、古いのを一式予備に持っていました。余談ですが、熊野花火行きの後で、旧オートパイロットに交換したら、コントローラーがひび割れで海水が浸入し、壊れていました。ところがアクチュエータは互換性があり、新しい一式のコントローラー、コンピューターに接続しても、問題なく作動しました。